【2025年版】外国人雇用・定着に使える助成金・補助金制度まとめ|採用コストを抑える最新支援策
作成日:2025年7月2日
最終更新日:2025年7月2日
外国人材の雇用・定着を検討している事業者にとって、国や自治体が提供する助成金・補助金制度は、採用コストや定着支援にかかる負担を大きく軽減できる重要な施策です。特に「特定技能」「技能実習」「技人国」「EPA」など、在留資格によって適用される制度が異なるため、それぞれの制度内容を正確に把握することが成功のカギとなります。
本記事では、2025年最新の外国人雇用・定着に活用できる助成金・補助金制度を厳選して紹介します。語学教育やOJT、就労環境整備など、さまざまな場面で使える支援策を通じて、外国人材の長期的な雇用安定を目指しましょう。
【外国人採用の助成金早見表】
助成金 | 説明 |
---|---|
外国人労働者 就労環境整備助成コース |
外国人労働者が働きやすい職場環境(多言語対応・相談体制等)の整備費用を支援。 |
外国人介護人材 受入施設等環境整備事業 |
介護施設等で外国人介護人材の受け入れ・定着を目的とした職場環境整備費用を補助。 |
建設キャリアアップシステム等 活用促進コース |
建設分野での外国人技能者の処遇改善やCCUS登録費用等を助成。 |
スキルアップ 支援助成金 |
外国人を含む従業員の語学研修や外部講座受講費用を助成。 |
人材開発 支援助成金 |
外国人材へのOJT・Off-JT等の職業訓練費用や賃金を助成。 |
人材確保等 支援助成金 |
多言語マニュアル整備や相談窓口設置など、外国人の定着支援を助成。 |
外国人向けの助成金
【全事業者向】人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)
雇用保険に加入する外国人労働者を雇用する全ての事業者を対象に、職場の多言語対応や相談体制の整備、面談制度の導入など、外国人が働きやすい環境整備を支援する助成金制度です。
主な活用事例
- 雇用労務責任者の選任と定期面談の実施
- 社内マニュアルや就業規則の多言語化
- 相談・苦情窓口の設置
- 一時帰国制度の導入
- 翻訳機器や通訳サービスの導入
助成内容
- 翻訳費・通訳費
- 多言語マニュアル・標識の作成
- 面談制度や相談体制の整備費用
- 一時帰国制度導入に関する費用
助成条件
- 外国人労働者が雇用保険に加入していること
- 雇用労務責任者の選任と面談制度の導入(必須)
- 就業規則の多言語化(必須)
- 上記に加え、相談体制・帰国制度・マニュアル整備のいずれかを実施
- 事業前に計画届を提出し、終了後に効果報告・支給申請書を提出
- 外国人の離職率が一定水準以下であること
助成金概要
支給率 | 1/2(上限57万円)/2/3(上限72万円 ※要件達成時) |
---|---|
支給金額 | 制度1件あたり最大20万円(最大4制度まで) |
助成対象 | 外国人労働者(雇用保険加入者)を雇用する事業主 |
申請時期 | 事業開始1~6か月前に計画届を提出、終了後に支給申請 |
【介護向け】外国人介護人材受入施設等環境整備事業
特定技能・技能実習・EPA・留学生などの外国人材を受け入れる介護施設や福祉事業所向けに、職場環境の整備や教育支援の費用を補助する制度です。
主な活用事例
- 多言語翻訳機の購入・リース費用(最大30,000円/台、補助率2/3)
- 日本語・資格取得教材の購入や講習費用
- 住居手当・交流会・メンタルケア支援
助成内容
- 翻訳ツール・翻訳マニュアル・研修費用
- 日本語教育や資格取得にかかる教材・講師費用
- 住居初期費用、交流・メンタルケア支援
助成条件
- 事業開始前に交付申請書を提出(1カ月前目安)
- 対象期間内(例:令和7年4月1日~令和8年3月31日)の支出
- 交付要綱に沿って契約・支払前に申請完了
- 実施後に実績報告書・領収書などを提出
助成金概要
補助率 | 2/3 |
---|---|
補助上限 | 20万~30万円(自治体により異なる) |
対象者 | 介護保険施設、養成機関、外国人介護人材を受け入れる事業者 |
申請時期 | 年度により異なる(例:6~11月) |
【建設向け】建設キャリアアップシステム等活用促進コース
建設キャリアアップシステム(CCUS)に登録し、技能者の処遇改善や就業履歴の蓄積を行う中小建設企業・団体等に対して、登録費用や人件費補助を行う助成制度です。
主な活用事例
- 特定技能外国人のCCUS登録料・レベル判定料の全額補助
- 賃金を5%以上引き上げた技能者に1人あたり16万円を助成
- 団体が機器・支援員を導入し、最大3,000万円を受給
助成内容
- CCUS登録料
- レベル判定手数料
- 履歴蓄積・見える化システム費用
- 昇給対応による人件費補助
助成条件
- 計画届を事前に労働局へ提出
- 支出は計画届提出以降の経費が対象
- 事業完了後、効果報告書・支給申請書を提出
- CCUS上で履歴・昇給の確認ができること
- 賃金引き上げの証拠(給与明細・契約書等)を提出
助成金概要
最大助成額 | 3,000万円(団体)/16万円×10人(企業) |
---|---|
助成対象 | 中小建設企業 建設事業者団体 特定技能外国人の受入企業 |
申請条件 | 計画届を事前提出 支出証明書の提出 効果報告書の提出 |
日本人・外国人も対象のおすすめの助成金3選
①スキルアップ支援助成金
外国人従業員の語学力や専門知識の向上を目的として、日本語研修や業務マナー講座などの外部研修を実施した場合に、その費用の一部が助成されます。
外国人材が業務に早期に慣れるための教育投資として有効で、即戦力化と職場への定着を図る上でも活用が期待されます。
対象内容 | 外部研修・資格取得など |
---|---|
活用例 | 日本語研修、業務マナー講座の受講 |
対象者 | 外国人を含む全従業員 |
②人材開発支援助成金
外国人材に対して業務に必要な職業訓練(OJTやOff-JT)を行った際に、訓練費用やその間の賃金を助成する制度です。特に、介護・建設などの専門職においては技能講習との相性が高い支援策です。
特定技能制度を導入している事業主には、「人への投資促進コース」がおすすめ。義務的支援以外の研修などに要した費用の一部が補助されます。
対象内容 | Off-JT、OJT、各種技能訓練 |
---|---|
活用例 | 介護・建設・製造などの技能講習 |
対象者 | 外国人を含む正社員・パート等 |
③人材確保等支援助成金
多言語マニュアルの整備、相談窓口の設置、住居支援など、外国人が安心して働ける環境を整える取組に対し助成が受けられます。
外国人従業員の定着率向上や離職防止を目的とした支援策で、特定技能や技人国など幅広い在留資格の人材に対して活用可能です。
対象内容 | 職場環境改善、処遇改善 |
---|---|
活用例 | 相談窓口の設置、生活支援制度の導入 |
対象者 | 外国人を含む全従業員 |
助成金と補助金の違い
助成金と補助金は似たような支援制度に見えますが、制度の目的や申請条件に明確な違いがあります。以下の比較表を参考にしてください。
項目 | 助成金 | 補助金 |
---|---|---|
目的 | 雇用促進・人材育成など | 事業支援・設備導入・販路開拓など |
公募形式 | 通年・随時受付 | 期間限定・採択式 |
審査の有無 | なし(条件を満たせば受給) | あり(審査を経て採択) |
代表的な対象 | 人材採用・職場環境整備 | 機器導入・新規事業開発 |
返済義務 | なし | なし |
外国人材に関連する制度の多くは「助成金」に該当し、要件を満たせば比較的申請しやすい点が特徴です。
まとめ
外国人材の受け入れや定着を成功させるためには、多言語対応、研修制度の充実、処遇改善といった就労環境の整備が不可欠です。国や自治体が提供する助成金・補助金を活用することで、こうした取組を費用負担を抑えながら計画的に進めることが可能になります。
特に、「特定技能」「技能実習」「技術・人文知識・国際業務(技人国)」「EPA」など、在留資格ごとに適用される制度が異なるため、目的に合った支援策を見極めることが、外国人材の長期的な雇用安定や離職防止につながります。制度の中には申請前の準備が必要なものもあるため、早期の情報収集と専門家の支援活用が成功の鍵となるでしょう。
