特定技能「外食業」徹底解説|要件・メリット・申請手続きの流れをわかりやすく紹介

作成日:2025年3月23日
最終更新日:2025年3月23日

深刻な人手不足に悩む日本の外食業界では、ホールスタッフやキッチン補助、店舗管理など、幅広い職種で従業員確保が急務となっています。そんな中、2019年に導入された特定技能制度は、一定の技能試験と日本語試験を合格した外国人を即戦力として雇用できる新たな在留資格として注目を集めています。外食業も14分野の一つに含まれており、飲食店の人手不足を解消しつつサービス品質を高めるチャンスとなるでしょう。本記事では特定技能「外食業」の要件、メリット、申請手続きの流れを詳しく解説します。

特定技能「外食業」とは?制度の背景

特定技能は、日本政府が深刻な人手不足対策として新設した在留資格です。外食業を含む14分野が対象で、外国人が一定の試験に合格すれば日本で就労できる仕組みになっています。
飲食店やレストラン、ファストフード店など、ホール業務や調理補助、店舗運営をサポートする役割を中心に活躍が期待されます。技能実習や留学生アルバイトとは異なり、最長5年間の在留が可能で、即戦力として位置付けられるのが特徴です。

特定技能「外食業」の対象業務

特定技能で外国人が従事できる外食業務は、以下のような分野が想定されています。

  • 接客・ホール業務:注文対応、配膳、会計など店内サービス全般
  • 調理補助:食材の下ごしらえ、盛り付け、皿洗いなど
  • 店舗管理の補助:在庫チェック、清掃、レジ締め作業など

ただし、経営管理や高度な調理師業務などは別の在留資格が必要な場合があります。あくまで飲食店のオペレーションやサービスを支える業務が対象です。

特定技能「外食業」での要件

外国人が外食業で特定技能の在留資格を取得するためには、以下の条件をクリアする必要があります。

1. 外食分野の技能試験合格

外食特定技能評価試験に合格し、接客や衛生管理、簡単な調理補助など外食業務に必要な基礎技能を持っていると認められる必要があります。筆記や実技を通じて、レストランや飲食店運営に必要な知識が問われます。

2. 日本語試験(概ねN4相当)の合格

飲食店では接客時に日本語を使う場面が多く、日常会話レベル(JLPT N4程度)の日本語力が求められます。JFT-Basicなどの試験合格でも同等とみなされる場合があります。

3. 受け入れ企業(飲食店側)の要件

特定技能1号で外国人を雇用する場合、企業側にも以下の条件が必要です。

  • 日本人と同等以上の労働条件:給与、休暇、福利厚生などで差別がないこと
  • 登録支援機関または自社支援計画:住居確保や日本語学習などの生活支援を実施
  • 不正仲介や違法労働を行わない:コンプライアンスを徹底し、法令違反をしない

特定技能「外食業」を活用するメリット

特定技能を導入し、外食業で外国人を受け入れることで以下のようなメリットが見込めます。

  • 人手不足の緩和:アルバイトや短期雇用では対応しきれないシフトや繁忙時間帯にも即戦力を確保
  • 多言語対応サービスの強化:海外旅行客が増加する中、外国人スタッフが英語や自国語で接客できる
  • サービス品質向上:基礎技能試験合格者を採用するため、接客マナーや衛生管理に対する理解が一定レベル保証される
  • 長期雇用の安定:最大5年間の在留が可能。技能実習よりも滞在期間が長く、スタッフを育成しやすい

申請手続きの流れ

外食業で特定技能外国人を採用する際、以下のステップで進めるのが一般的です。

  1. 試験合格者の選考・面接:海外・国内で外食特定技能評価試験、日本語試験合格者を企業側が募集・面接
  2. 雇用契約締結:労働条件や賃金、業務内容を明確化し、契約書を作成。外国人本人と合意
  3. 在留資格認定証明書(COE)申請:企業が必要書類を出入国在留管理庁へ提出。登録支援機関を利用する場合は、その計画も合わせて提出
  4. COE交付・ビザ申請:COEが発行されたら、本人が海外の日本大使館・領事館でビザを申請
  5. 来日・支援開始:住居探しや生活オリエンテーション、日本語研修を行い、店舗に配属。ホールやキッチンでの研修を実施

登録支援機関や専門家の力を借りることで、複雑な書類作成やスケジュール管理がスムーズになります。

企業側が注意すべきポイント

1. シフト管理と長時間労働への配慮

外食業ではピーク時の残業や変則シフトが多くなりがちです。外国人スタッフにも法定労働時間や休日などを適切に保証し、過度な労働にならないよう管理する必要があります。

2. 衛生管理と安全

飲食店では食中毒防止や厨房の安全確保が重要。外国人スタッフにも日本語でのマニュアルや定期的な衛生講習を徹底し、事故やクレームを未然に防ぎましょう。

3. コミュニケーション・トラブル防止

言語や文化の違いから誤解が生じないよう、明確な業務指示や定期的な面談でのフォローアップが大切です。多文化共生の意識を持ち、職場全体が外国人スタッフを受け入れる環境づくりを進めましょう。

導入事例|外国人スタッフでサービス力向上したレストラン

ある都心のレストランでは、外国人観光客への接客対応が課題となっていました。特定技能「外食業」に合格した外国人スタッフをホールに配置したところ、英語対応がスムーズになり、外国人旅行客からの口コミ評価がアップ。さらに日本語試験N4レベルのスタッフだったので、日本人客との基本的なコミュニケーションも問題なく、クレームが減少。企業は登録支援機関を通じて住居確保や銀行口座開設などを支援し、離職率を下げることに成功しました。

まとめ|特定技能「外食業」で人手不足解消とサービス品質UPを

特定技能「外食業」は、人手不足が深刻化する飲食店やレストランにとって大きな可能性を秘めた在留資格です。技能試験と日本語試験に合格した即戦力人材を雇用し、長期的に安定した店舗運営やサービスの向上を狙うことができます。
一方で、適正な労働条件の保証生活支援コミュニケーションギャップの回避など、企業側には責任ある対応が求められます。これらをしっかりと整備すれば、外国人スタッフを活用して多文化共生を実現しながら、競争の激しい外食産業で勝ち残る力を得られるでしょう。

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