ベトナム人の特定技能活用完全ガイド|制度の概要から受け入れの成功ポイントまで徹底解説
作成日:2025年3月23日
最終更新日:2025年3月23日
日本の労働力不足を解消するために2019年4月に導入された特定技能制度は、海外からの人材受け入れを加速させています。中でもベトナムは近年、日本国内における外国人材全体のなかで大きな存在感を示しており、特定技能で在留する外国人の中でもベトナム人が最多とのデータも出入国在留管理庁から発表されています。この記事では、ベトナム人特定技能の概要や送り出し体制、企業の受け入れポイント、そして成功事例につながる具体策まで網羅的に解説します。ベトナム人材を検討している企業の担当者だけでなく、日本で働きたいベトナム人の方にも有益な情報となるはずです。
ベトナム特定技能の現状と背景
ベトナム人の人口は約9,800万人(2023年時点推計)で、豊富な若年層を抱えるのが特徴です。かつては日本への技能実習生が急増し、現在では在留外国人の国籍別ランキングでもベトナム人は上位に位置しています。出入国在留管理庁の公表資料によると、特定技能で在留する外国人のうちベトナム人が最も多いという統計があり、今後も拡大が見込まれています。
ベトナム政府と日本政府は特定技能に関する協力覚書(MOC)を締結しており、適正な送り出しと受け入れが行われるよう管理されています。ベトナム国内では、特定技能の試験対策や日本語教育が行われる専門学校や送り出し機関が増加中で、日本で働くチャンスを得たい若者が多いことが背景にあります。
ベトナム人特定技能が注目される理由
1. 若年層の豊富さ
ベトナムは高い経済成長率を誇り、若い労働力が充実しています。日本企業にとっては、人材不足を解消しやすい国として魅力的です。
2. 親日感情の高さ
歴史的・文化的に日本との交流が深いこともあり、ベトナムの若者は日本に対して好意的な印象を持つことが多いです。留学生や技能実習生として来日した経験者が、特定技能へ移行するケースも増えています。
3. 日本語学習環境の拡充
ベトナム国内では日本語学習が盛んで、大学や専門学校で日本語を専攻する学生も増加傾向です。特定技能に必要な日本語試験(N4相当以上)を目指す環境が整ってきています。
主な受け入れ分野とベトナム人材の特徴
特定技能では14分野が受け入れ対象となっていますが、ベトナム人材が特に多く活躍するのは下記の分野です。
- 介護
ベトナム人材は技能実習などで介護現場に従事した経験者が多く、特定技能への移行で即戦力となりやすい面があります。 - 製造業・自動車整備
元技能実習生が多く、機械オペレーションや整備技術を習得しやすい背景があります。真面目で勤勉な気質も評価されています。 - 外食・飲食料品製造
コミュニケーションを要する接客業や食品工場など、幅広い業務でベトナム人材が活躍しています。
ベトナム人材は、素直で勤勉、そして協調性の高さが特徴とされる一方で、来日前に十分な日本語力を備えているかどうかが大きなポイントになります。企業側が来日前の研修や学習支援を行うことで、スムーズな業務遂行と定着率向上が期待できます。
送り出し体制と注意点
ベトナム政府は、特定技能の適正化を目的に認定送り出し機関を整備しています。公的機関の監督下で日本語教育や技能試験対策が提供され、不正ブローカーの排除を図っています。送り出し機関との連携にあたっては、以下の点に注意が必要です。
- 認定情報の確認
ベトナム政府・在ベトナム日本大使館などの公的サイトで、認定送り出し機関として正式に登録されているかを確認しましょう。 - 費用負担の明確化
受検料や渡航費用などを過度にベトナム人材本人に負担させる不当な事例が報告されています。必ず契約内容を確認し、公平な条件で受け入れることが大切です。 - 試験対策と日本語教育の質
日本語能力試験(N4相当)と分野別の技能試験に合格するためのプログラム内容をチェックし、しっかりとした学習サポートを受けられるかを見極めましょう。
受け入れ企業が押さえるべきポイント
1. 労働条件の整備
日本人と同等の労働条件を提示するのはもちろん、残業や休日、福利厚生などを明確化することが重要です。ベトナム人材が安心して働ける環境づくりが、長期定着につながります。
2. 生活サポート体制
特定技能で来日するベトナム人の多くは、初めての海外生活を経験します。住居手配や銀行口座開設、役所手続きなどのサポートを登録支援機関と連携して行うとスムーズです。
3. 日本語力の向上支援
特定技能では日常会話レベルの日本語力が必須とされますが、実際の現場で求められる専門用語や業界用語の学習には継続的なサポートが効果的です。定期的な日本語研修や社内メンター制度を導入している企業では、離職率が低くなる傾向があります。
4. キャリアパスの提示
特定技能1号の在留期間は通算5年ですが、将来的に特定技能2号への移行や他の在留資格への切り替えも可能です。業務内容やスキルによっては長期的なキャリアパスを示し、モチベーションを高めましょう。
ベトナム人特定技能の成功事例
ある製造業の中小企業では、技能実習を修了したベトナム人材を特定技能1号で受け入れ、来日前のオンライン研修を実施しました。日本語力と業務知識を高めた状態で入社したため、短期間で現場に馴染み、生産性向上に貢献したといいます。また、定期的に日本語補習や資格取得支援を行うことで、従業員同士のコミュニケーションがスムーズになり、離職率の低下にもつながりました。
介護施設で働くケースでは、技能実習から特定技能への移行が多く見られます。EPAによる看護・介護分野の実績を活かし、ベトナム国内で介護技術を学んだ上で特定技能に挑戦する人材が増えています。企業側は、専門用語を含む日本語の支援や異文化理解のための研修を丁寧に行い、職場への定着率を高めています。
公的機関からの一次情報と最新動向
出入国在留管理庁が公表する特定技能在留者数のデータ(最新の公表時点)によると、ベトナム国籍者が全体のトップクラスを占めており、今後も大幅な増加が見込まれます。厚生労働省や外務省も、ベトナムとの人材育成・交流を活性化する方針を打ち出しており、送り出し環境の整備や日本語教育の推進策を進めています。
また、ベトナム政府としても若年層の海外就労を経済成長の一環と捉えており、国内の送り出し機関や教育機関の質向上に注力しています。不正な仲介業者の取り締まりも強化されており、適切な手続きを踏んだうえで来日するベトナム人材が増えることが期待されます。
まとめ
ベトナムの特定技能は、企業と外国人材の双方に大きなメリットをもたらす制度として注目度を高めています。若い労働力が豊富なベトナムからは、熱意と勤勉さを兼ね備えた人材が多数来日する傾向にあり、介護や製造業、外食産業など幅広い分野で即戦力となる可能性が高いです。
一方で、送り出し機関の信頼性や日本語力の習得、文化・生活面でのサポートなど、受け入れ企業にはいくつかの課題も存在します。公的機関や専門家が提供する一次情報を活用しながら、着実に制度を理解・運用することで、企業とベトナム人材の“ウィンウィン”関係を築けるでしょう。今後も日本とベトナムの連携が深まる中で、特定技能を通じた人材交流はますます盛んになることが予想されます。
