特定技能制度のメリット・デメリットとは?企業・外国人双方の視点で徹底解説
作成日:2025年7月28日
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特定技能制度は、即戦力となる外国人材を受け入れることができる在留資格制度として2019年に創設されました。人手不足分野への対応策として注目される一方で、制度の運用にはいくつかの課題も存在します。本記事では、企業・外国人それぞれの視点で特定技能制度のメリット・デメリットを整理し、活用方法まで解説します。

外国人採用のスペシャリスト
2018年から外国人採用領域を専門とする最大手の就職し、その後、登録支援機関として合同会社エドミールを設立。技能実習、特定技能、技人国といった外国人採用にまつわる全領域に携わる稀有な専門家。のべ600名の採用支援実績があり、膨大な経験と実績から2025年度は3つの商工会議所に「外国人採用の専門家」として講師として登壇。
武藤拓矢のプロフィール …続きを読む特定技能制度とは?
特定技能は、人手不足が深刻な産業分野において、即戦力として一定の技能や日本語能力を有する外国人を受け入れるための制度です。「特定技能1号」と「特定技能2号」の2種類があり、特定技能1号は通算5年までの就労が可能で、2号は熟練者として更新に制限なく在留可能です。
対象分野は2025年現在で16分野にのぼり、介護・建設・外食・農業・製造業などが含まれます。
特定技能のメリット
制度導入により、企業・外国人双方に次のようなメリットがあります。
- 即戦力の確保が可能:試験を通過した外国人を受け入れるため、一定のスキルと実務経験が担保されている。
- 柔軟な転職が可能:同一分野内であれば転職が許容されており、キャリア形成に前向きな人材が多い。
- 技能実習からの切り替えで試験免除:技能実習2号を良好に修了した人材は、試験なしで特定技能に移行可能。
- 在留資格が明確で更新可能:制度に基づいた契約と在留管理が行えるため、企業側の法令遵守対応がしやすい。
- 2号へ移行すれば長期雇用も可能:特定技能2号に移行すれば家族帯同や永住も視野に入る。
特定技能のデメリット
一方で、制度を活用する際には以下のような課題・注意点もあります。
- 支援義務の対応が必要:特定技能1号では企業が10項目の支援を実施する必要があり、体制整備や登録支援機関への委託が必要。
- 言語・文化の壁:外国人とのコミュニケーションや職場の文化ギャップにより、現場トラブルや離職が発生することがある。
- 在留期間の上限(1号は5年):長期的な人材活用を考える企業には不向きなケースもある。
- 対象分野の限定:制度対象外の業種では受け入れができない。
- 制度運用の複雑さ:法令や行政手続きの理解、定期届出など企業に求められる制度対応が煩雑。
企業が制度を活用する際のポイント
特定技能制度の効果を最大化するためには、採用前から支援体制まで一貫した運用が求められます。
- 採用前に制度・契約条件を丁寧に説明し、期待値のすり合わせを行う
- 登録支援機関を適切に選定し、支援項目の品質を確保
- 職場での異文化対応・多言語コミュニケーション体制を整備
- 将来的な2号移行や定着支援制度も視野に入れた運用方針を明確化
外国人にとっての制度上の利点と注意点
外国人にとっても、就労機会の拡大というメリットがある一方、在留期間や転職制限などに注意が必要です。
- メリット:試験による公平な評価、技能実習との違い、転職自由度、報酬基準の明確さ
- デメリット:転職には分野制限があり、2号移行要件も高いため、長期的な在留を目指すには計画的な準備が必要
特定技能 メリット・デメリットに関するよくある質問
Q. 特定技能制度の最大のメリットは?
A. 即戦力となる外国人を法的に受け入れられ、かつ分野内での転職や長期在留の可能性がある点です。
Q. 支援義務とは何ですか?
A. 特定技能1号の外国人に対して、生活・労働に関する10項目の支援を企業または登録支援機関が提供することが義務づけられています。
Q. 特定技能2号になるとどんなメリットがありますか?
A. 在留期間の制限がなくなり、家族帯同も可能になるため、安定した長期雇用が見込めます。
まとめ|特定技能制度の利点とリスクを理解して活用を
特定技能制度は、企業にとって即戦力人材を確保できる有効な手段であると同時に、支援体制や異文化理解が求められる制度です。メリットだけでなく、制度運用や支援負担というデメリットも把握した上で、計画的な導入を進めることが成功の鍵となります。
