特定技能在留外国人数は約28万人規模に成長|制度開始以来の推移と今後の展望
作成日:2025年7月28日
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特定技能制度は2019年に創設され、人手不足業界に即戦力を補う制度として注目されています。制度開始から5年の間に在留外国人数は飛躍的に増加し、2024年12月末時点で約28万人(1号+2号合計)に達しました。本記事では制度開始からの推移、分野別・国籍別・地域別の傾向、今後の対象分野追加予定と、企業が取るべき対応を詳説します。
2024年12月末時点の在留外国人数と成長率
出入国在留管理庁の2025年3月公表資料によると、2024年12月末時点での特定技能在留外国人数は約283,634人です。2024年6月末の約251,594人から6ヶ月で約32,040人増加し、成長率は約12.7%に達しました。制度開始当初(2019年末)の数千人規模から考えると、制度の普及と急成長が明確です。特にコロナ後の入国制限解除以降、企業の外国人雇用拡大が加速しています。
在留人数の推移(2019〜2024年)
制度開始年の2019年は数千人レベルでしたが、コロナ禍による一時減を経て、2022年には約17万人、さらに2023年末には20万人を突破。2024年末にはついに28万人超に達し、制度開始からの5年間で約282,000人の外国人受け入れを実現しました。これは当初見込みの受入上限34.5万人に迫る勢いです。
分野別受け入れ動向
2024年12月時点の分野別受け入れ比率は以下の通りです。
- 飲食料品製造業:74,538人(全体の約26.3%)
- 素形材・産業機械製造・電気電子情報産業:45,279人(17.5%)
- 介護分野:44,367人(15.6%)
- 建設:38,578人(13.6%)
- 農業:29,331人(10.4%)
- 外食業:27,864人(9.8%)
- その他(清掃・ビルクリーニング・宿泊など):約24,509人(8.6%)
上位5分野だけで約84%を占めており、特に製造・介護・建設分野での受け入れが中心となっています。
国籍別構成と増加傾向
2024年12月時点の特定技能1号在留者を国籍別に見ると、以下の構成となっています。
- ベトナム:133,478人(全体の47%)
- インドネシア:53,538人
- フィリピン:28,234人
- ミャンマー:27,348人
- 中国:17,761人
- ネパール:7,014人
- その他(カンボジア、タイ、さらに南アジア諸国など)
6ヶ月の増加数では、インドネシアが+9,198人と最も伸び率が高く、ミャンマーが+8,279人、ベトナムが+6,180人です。いずれも制度特定国ルートや送り出し体制が整っている国々です。
都道府県別の受け入れ状況
全国都道府県別では、受け入れ人数が多い上位7県は以下の通りです(2024年6月末時点):
- 愛知県:22,805人
- 大阪府:18,739人
- 東京都:18,558人
- 埼玉県:18,234人
- 千葉県:17,627人
- 神奈川県:16,961人
- 茨城県:13,967人
製造業や介護施設の集積地が多く、関東・中京・関西圏で特定技能の受け入れが圧倒的に進んでいます。
特定技能2号の現状と将来展望
特定技能2号は制度開始後に導入された上位資格で、在留期間の制限なし・家族帯同可など特徴がありますが、現時点で在留者数はわずか数百人に留まります。ただし、対象分野の拡大や試験整備が進む中、2号在留者の増加が今後期待されます。
制度の拡大予定(2025年以降)
政府は2027年を目安に、以下の3分野を新たに特定技能の対象分野として追加する方針を発表しています:
- 倉庫管理(物流倉庫の管理業務)
- 廃棄物処理(廃棄物施設での処分・搬入業務など)
- リネン供給(病院・ホテル等におけるリネン供給業務)
これにより、制度対象分野は最大で19分野に拡大する見通しです。追加分野に対する受け入れ需要や人材確保における新たな機会が生まれることが予想されます。
企業向け活用ポイント
増加傾向が続く特定技能在留者の人数を踏まえ、企業が押さえるべきポイントは以下の通りです。
- 製造・介護・建設など受入数が多い分野を優先採用リストに入れる
- ベトナム・インドネシア・ミャンマーなど主な出身国に対応した支援体制を整備
- 2号拡充が進む分野では、長期的な定着戦略や家族帯同制度も視野に
- 新分野を受け入れる場合は登録支援機関や送り出し機関の選定を早めに行う
よくある質問(FAQ)
Q. 特定技能在留外国人数の最新値は?
A. 2024年12月末時点では約283,634人(1号+2号合計)です。
Q. 制度開始以来どれくらい増えましたか?
A. 制度開始当初の数千人から5年で約28万人と、約282,000人の増加を達成しています。
Q. 今後も人数は増える見込みですか?
A. はい。対象分野の追加予定と、制度の制度運用改善により、在留人数の拡大傾向は続くと見られます。
まとめ|制度急拡大の中で戦略的対応を
特定技能制度は、わずか5年で制度開始時の数千人規模から28万人超へと急拡大しています。分野別・国籍別の傾向や都道府県別の受け入れ状況、今後の分野拡大予定を正しく把握することは、企業が制度を戦略的に活用するために不可欠です。
今後は特定技能2号の拡大や新分野の導入により、人材採用と定着の形態にも変化が予想されます。企業は最新統計を定期的にチェックし、制度運用や支援体制の整備を着実に進めることで、優良な外国人材を確保する体制づくりに取り組んでください。
