特定技能外国人の転職は可能?分野制限・手続き・注意点を徹底解説
作成日:2025年7月28日
最終更新日:
特定技能外国人は、技能実習制度とは異なり、一定条件のもとで転職が可能です。ただし、分野や業務内容に制限があるため、正しい知識と手続きが求められます。本記事では、制度に基づく転職のルール、申請手続き、受け入れ企業・登録支援機関の対応ポイントまで詳しく解説します。
特定技能は転職可能な制度
特定技能制度では、以下の条件を満たす場合に外国人本人の転職が認められています。
- 同一分野・同一業務区分内での転職
- 在留期間内に手続きが完了していること
- 出入国在留管理庁の承認を得ていること
例えば「外食業」→「外食業」への転職は可能ですが、「農業」→「介護」といった分野を超えた転職は不可です(ただし在留資格の変更を行えば可能なケースもあります)。
転職が認められる具体的なケース
実際には以下のようなケースで転職が発生しています。
- 雇用契約満了による転職
- 会社都合による解雇や倒産
- 労働条件の相違・ハラスメント等による自主退職
いずれのケースでも、必ず出入国在留管理庁へ変更届出または資格変更申請が必要です。
転職の流れと必要な手続き
特定技能外国人が転職をする際の基本的な流れは以下の通りです。
- 現職を退職(解雇・契約満了含む)
- 新しい就職先企業を探す
- 雇用契約の締結
- 新企業による支援計画の作成
- 在留資格変更許可申請または活動機関変更届出を提出
- 新しい企業での就労開始
なお、転職活動中は離職後2〜3ヶ月以内に手続きを完了させるのが望ましく、長期空白期間が続くと在留資格取消のリスクもあります。
必要書類一覧
転職にあたり、提出すべき主な書類は以下の通りです。
- 在留資格変更許可申請書または活動機関変更届出書
- 新しい雇用契約書
- 支援計画書(登録支援機関が対応する場合)
- 退職証明書(前職)
- 履歴書・職務経歴書(任意)
書類不備や支援体制未整備の場合、転職申請が不許可となるケースもあるため注意が必要です。
転職できる分野とできない分野
転職できるのは「同一分野内」または「同一業務区分内」の場合に限られます。以下に例を挙げます。
転職の可否 | 例 | 備考 |
---|---|---|
可能 | 介護 → 介護(別法人) | 分野・業務が同一 |
可能 | 製造業(溶接)→ 製造業(溶接) | 業務区分が同一 |
不可 | 外食業 → 宿泊業 | 分野が異なる |
不可 | 建設(型枠)→ 建設(電気) | 業務区分が異なる |
企業・登録支援機関が行うべき対応
転職者を受け入れる企業は、通常の雇用に加え以下の対応が必要です。
- 支援計画の再作成
- 在留資格変更または届出の代行支援
- 日本語力や業務スキルの再評価
また、退職時の元雇用主も以下のような義務を果たす必要があります。
- 退職の届出(14日以内)
- 退職証明書の発行
- 必要に応じて退去時支援(特定の場合)
転職に関するよくある質問(FAQ)
Q. 特定技能外国人は自由に転職できますか?
A. 一定条件を満たす場合にのみ転職可能です。原則、同一分野内の移動に限られます。
Q. 分野をまたいで転職するにはどうすればいいですか?
A. 転職ではなく「在留資格変更申請」を行う必要があります。その場合、分野ごとの試験に再度合格する必要があります。
Q. 転職先が見つかるまでどれくらい在留できますか?
A. 明確な期限はありませんが、概ね2〜3ヶ月以内に新しい活動先を決める必要があります。長期間就労しないと資格取消の可能性があります。
まとめ|特定技能の転職は制度理解が鍵
特定技能外国人は、条件を満たせば転職可能ですが、制度上のルールや在留資格の制限、手続きの煩雑さなどに注意が必要です。企業・支援機関は、外国人が不安なく転職できるよう支援し、正確な手続きを怠らないことが重要です。
制度理解と連携体制を強化することで、特定技能人材の適正な活用と長期的な雇用安定につながります。本人のキャリア支援と企業の人材確保、双方にとってメリットある転職を実現しましょう。
