【特定技能】登録支援機関への一部委託とは?特定技能支援の柔軟な活用方法と契約の注意点

作成日:2025年7月24日
最終更新日:

「登録支援機関に全部任せるのはコストが高い…でも自社だけでは不安…」

そんな企業に注目されているのが、特定技能制度における“支援業務の一部委託”という選択肢です。

この方式では、支援業務の中で一部の業務だけを登録支援機関に外注し、その他の支援は自社で対応します。コストを抑えつつ、専門性の高い支援も確保できるのが大きなメリットです。

本記事では、登録支援機関の一部委託制度の概要から、対象となる業務内容、契約時の注意点、自社支援との比較まで、企業が知っておくべき実務情報をわかりやすく整理して解説します。

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監修者

外国人採用のスペシャリスト

武藤拓矢 詳細へ

2018年から外国人採用領域を専門とする最大手の就職し、その後、登録支援機関として合同会社エドミールを設立。技能実習、特定技能、技人国といった外国人採用にまつわる全領域に携わる稀有な専門家。のべ600名の採用支援実績があり、膨大な経験と実績から2025年度は3つの商工会議所に「外国人採用の専門家」として講師として登壇。

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登録支援機関とは?

登録支援機関とは?

登録支援機関とは、特定技能制度において、外国人材が日本で安心して働き、生活できるように支援を行う外部機関のことです。出入国在留管理庁に認定されており、外国人および受け入れ企業をサポートする「義務的支援業務」を代行できます。

通常、企業がすべての支援を行う「自社支援」に対して、外部の登録支援機関に支援業務を委託するケースが「委託支援」、一部だけ委託するケースが「一部委託」となります。

特定技能の義務的支援業務の一部委託について

特定技能の義務的支援の一部委託

一部委託とは?

一部委託とは、義務的支援業務のうち、特定の業務のみを外部の登録支援機関に委託する方法です。例えば、「住宅の確保・契約支援」や「通訳支援」のみを外部委託し、残りの業務は自社で対応する形です。

一部委託の制度的根拠

出入国在留管理庁の「支援実施要領」において、一部の義務的支援業務は外部委託が可能とされています。ただし、支援責任の最終的な所在は企業側にある点に注意が必要です。

登録支援機関への委託が必要なケース

主な委託が必要となるケース

特定技能外国人を雇用するにあたり、社内の体制や経験が十分でない場合は、支援業務の一部または全部を登録支援機関に委託することが現実的な選択肢となります。

以下のような状況では、外部の専門家の力を借りることで、制度違反やトラブルのリスクを軽減できます。

  • 自社に外国人対応ができる人材がいない(多言語支援が難しい)
  • 支援実績がなく、制度に不慣れで運用リスクが高い
  • 一部の支援業務に限って外部の専門家を活用したい

全委託と一部委託の違い

「全委託」は、義務的支援のすべてを登録支援機関が代行する形式。「一部委託」は、自社で対応が難しい業務のみを切り出して外注する方式です。委託範囲に応じて契約内容や費用も異なります。

登録支援機関の選び方

選定時のチェックポイント

登録支援機関を選ぶ際は、単に費用の安さだけでなく、業務範囲・言語対応・契約の柔軟性など多角的な視点が求められます。自社の支援体制や委託希望業務にマッチするパートナーを見極めることが、スムーズな外国人雇用に直結します。

  • 委託可能な業務範囲と実績
  • 支援言語の対応(ベトナム語・タガログ語など)
  • 柔軟な契約形態(部分委託に対応しているか)
  • 月額費用・初期費用の明確さ

一部委託に強い登録支援機関の特徴

柔軟な支援メニューを持ち、スポット支援やオプション対応が可能な支援機関は、一部委託を希望する企業との相性が良いです。大手だけでなく中堅の支援機関も視野に入れて検討しましょう。

義務的支援業務の具体的な内容

委託可能な義務的支援業務の例

特定技能外国人を雇用する際、企業は10項目にわたる「義務的支援業務」を実施する必要があります。これらの業務のうち、一定の条件を満たせば、登録支援機関への委託が認められています。以下は、委託可能とされる代表的な支援業務の一覧です。

  • ①事前ガイダンスの実施
  • ②出入国時の送迎
  • ③適切な住居の確保支援
  • ④生活に必要な契約支援
  • ⑤日本語学習の機会提供
  • ⑥相談・苦情対応体制の整備
  • ⑦日本人との交流促進支援
  • ⑧転職・解雇時の支援
  • ⑨定期的な面談と職場訪問
  • ⑩関係機関への通報

委託できない業務

一部の業務(例えば雇用主との契約関連など)については、企業自身で行う必要があるため、すべてを委託できるわけではありません。詳細は入管庁の通知や委託契約の内容を確認しましょう。

自社支援のメリットとデメリット

自社支援のメリット

登録支援機関に委託せず、企業が自ら支援業務を行うことで、コスト面や人材定着において多くの利点があります。

  • 月額支援費用が不要になる
  • 外国人との距離が近くなり、定着率が向上する
  • 支援の内容を柔軟にカスタマイズできる

自社支援のデメリット

一方で、社内で義務的支援を行うには体制整備や法令順守の負担もあり、専門的な知識や人員確保が課題となることがあります。

  • 体制整備・記録管理の工数が発生する
  • 定期報告など法令対応を社内で行う必要がある
  • 対応言語・文化理解の不足がトラブル要因となる

登録支援機関との契約の流れ

一部委託の契約ステップ

自社で一部の義務的支援業務を行い、残りを登録支援機関に委託する場合、以下のようなステップで契約を進めるのが一般的です。

  1. 自社で支援可能な業務・難しい業務を洗い出す
  2. 委託希望業務を明確化して登録支援機関を比較
  3. 契約前に業務範囲・費用・報告体制をすり合わせる
  4. 契約締結後、支援計画書・申請書類を整備
  5. 支援実施と支援実施記録の作成・保存

登録支援機関との連携を円滑にするために、契約前の説明責任・支援分担の明文化が重要です。

まとめ 登録支援機関の一部委託について

特定技能制度における支援業務は、企業の状況に応じて「自社実施」「全委託」「一部委託」という3つの方式から選ぶことができます。一部委託は、コスト削減と業務効率化のバランスを図りつつ、制度対応の確実性を高める選択肢として注目されています。

支援責任はあくまで企業側にあるため、委託内容の把握と信頼できる登録支援機関との連携が不可欠です。自社のリソースや外国人材の属性を踏まえ、最適な支援体制を構築していきましょう。

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