登録支援機関の選び方｜特定技能で外国人を受け入れる企業必見のガイド

作成日：2025年3月23日
最終更新日：2025年3月23日

特定技能で外国人を受け入れる際、「登録支援機関」というキーワードが必ず登場します。登録支援機関は、特定技能1号で来日する外国人に対して、日常生活や就業上のサポートを行う専門事業者です。企業が特定技能外国人を採用する場合、この支援業務を自社で対応するか、登録支援機関へ委託するかを選択する仕組みになっています。ところが登録支援機関は全国に数多く存在し、その選び方が企業にとっては大きな悩みの種。

本記事では、登録支援機関とは何か、どのようなサポートを行うのか、そしてどんな基準で選べば良いのかを詳しく解説します。特定技能を活用して外国人を採用する際の重要なパートナーとなる登録支援機関を、ぜひあなたの企業に最適な形で選びましょう。

そもそも登録支援機関とは？特定技能で欠かせないサポート役

登録支援機関は、特定技能制度において外国人が安心して日本で働き生活できるよう支援を行うために法務省から認定を受けた事業者のことです。具体的には以下のような支援業務が義務づけられています。

住居の確保や行政手続きのサポート：市役所への転入届、健康保険や年金の加入手続き、銀行口座の開設などを助言・同行して支援。
日本語学習と生活オリエンテーション：公共交通機関の利用方法、ゴミ出しルール、医療機関の受診手続きなどを教え、外国人が困らないようにする。
定期面談と職場でのトラブル対応：外国人スタッフと定期的に面談し、就業上の悩みや人間関係の課題を早期に発見して対処。

特定技能1号で外国人を雇う企業は、こうした支援業務を自社で完結させるか、登録支援機関に委託するかを選びます。企業が支援業務を委託する場合、登録支援機関の選び方が企業の「外国人受け入れ成功」を左右する大きな鍵となります。

登録支援機関に依頼するメリットと自社対応との違い

支援業務を自社で行うことも可能ですが、労務管理や生活サポートのノウハウが不足している場合は手間とリスクが大きくなります。登録支援機関を活用すると以下のようなメリットがあります。

専門知識と経験を活かした効率的な支援

登録支援機関は外国人の在留手続きや生活支援の専門知識を有し、実務経験も豊富です。企業が独自に業務を行うよりもスムーズかつ正確に手続きを進められるでしょう。例えば、住居探しひとつをとっても、外国人に対する不動産の保証人問題やコミュニケーションの壁を乗り越えられる機関を既に把握しているケースが多く、安心感が違います。

労働法令やコンプライアンス対応

特定技能外国人には日本人と同等以上の待遇を用意しなければならず、法令遵守が必須です。登録支援機関は、労働基準法や入管法に精通し、トラブルを未然に防ぐためのアドバイスを行います。企業が誤って違法な労働条件を設定してしまうリスクを大幅に抑えられます。

高い定着率につながるサポート

外国人スタッフが仕事や生活に問題を抱えたままだと、途中で退職してしまう可能性が高まります。登録支援機関は、定期面談やトラブル相談窓口の設置などを通じて、早期の問題把握と解決を図り、長期間にわたって働き続けてもらう環境を整えます。定着率向上は企業にとって大きなメリットと言えるでしょう。

登録支援機関を選ぶ際のチェックポイント

登録支援機関は全国に多数存在し、規模や得意分野もさまざまです。選定を誤ると、サポートが不十分で外国人スタッフが困窮したり、企業が法的リスクを負ったりする可能性があります。以下のポイントを基準にしながら選びましょう。

1. 許可や実績が明確かどうか

登録支援機関は法務省・出入国在留管理庁から認定を受けている必要があります。公式のリストで確認し、行政書士や社会保険労務士などの資格・実績があるかもチェックしましょう。また、どのくらいの企業や外国人支援を手掛けてきたのか、実績データが開示されていると安心できます。

2. 対応分野・国籍の得意領域

特定技能には14の対象分野があり、機関によって得意とする分野や取扱国籍が異なります。企業が雇用したいのが介護分野なのか、外食業なのか、ベトナム人かネパール人かなど、自社のニーズと合致するかを必ず確認しましょう。国によってビザ申請や文化的習慣が異なるため、取り扱い実績を持つ機関ほどスムーズに進められます。

3. 生活支援と日本語サポートの充実度

特定技能1号では、生活支援が企業の義務です。例えば住居探し、銀行口座の開設、行政手続きなどをどの程度支援してくれるのか、日本語研修や定期的なカウンセリングの実施体制はあるのかを詳しく聞いてみましょう。外国人スタッフが問題を抱えたときの迅速な対応窓口を整備しているかどうかも重要です。

4. 費用・契約内容の透明性

登録支援機関へ支払う報酬は数万円～数十万円と幅があります。支援業務の内容が契約書に明確に記され、毎月のサポート費や追加料金の有無などが透明化しているかをチェックする必要があります。不当な仲介手数料の徴収は違法なので、あやしい費用がないか事前にしっかり確認しましょう。

トラブルを回避するためのポイント

登録支援機関を使う場合でも、企業側が注意を怠るとトラブルが起きることがあります。以下のポイントを守るとリスクを大幅に軽減できます。

コミュニケーションの密な連携

登録支援機関に業務を委託した後も、丸投げにしてはいけません。定期的に進捗状況を共有し、外国人スタッフがどのような問題に直面しているのかを把握するようにしましょう。企業と支援機関が頻繁に連絡を取り合えば、コミュニケーションのズレが起きにくく、外国人スタッフへの適切な対応が可能となります。

契約内容の明確化と記録

支援業務の範囲や料金、期限などを契約書や覚書で詳しく定めておくのが必須です。万一のトラブル時に「どこまでが登録支援機関の責任範囲なのか」が不明確だと解決が遅れ、外国人スタッフや企業側が困る事態を招きます。書面でお互いの役割分担をはっきりさせましょう。

外国人スタッフへの説明会や意見交換

企業・登録支援機関・外国人スタッフの三者が情報を共有する仕組みを作ることも大切です。来日前や採用直後に説明会を開催し、書類や契約内容を母国語または理解可能な言語で説明してあげれば、後から「話が違う」というトラブルを減らせます。意見交換の機会を定期的に設けることで、問題を早期に察知して対処できるでしょう。

成功事例｜登録支援機関との連携で外国人スタッフが定着した飲食企業

ある外食チェーンは、ピーク時のスタッフ不足を補うために特定技能「外食業」で数名の外国人を採用しました。初めは自社で支援業務を行おうと考えていましたが、専門知識が不足していることに気づき、実績豊富な登録支援機関と契約。
その結果、住居探しや行政手続きをスムーズに進めてもらい、外国人スタッフもストレスなく来日後すぐに業務へ着手。さらに月1回の面談で悩みを共有し、コミュニケーションのズレを未然に防ぐ仕組みが作れたため、離職率は通常より低く抑えられ、長期的に安定した労働力を確保できたという事例があります。