特定技能外国人の一時脱退金とは?帰国後に受け取れる年金・保険の仕組みを解説
作成日:2025年7月28日
最終更新日:
特定技能で日本に就労していた外国人が帰国した際、一定の条件を満たせば「一時脱退金(脱退一時金)」を受け取ることができます。これは、在留中に支払っていた厚生年金や雇用保険の一部を帰国後に返金する制度です。制度の仕組みと申請方法、注意点を詳しく解説します。
一時脱退金とは?
一時脱退金は、日本の厚生年金制度に加入していた外国人が帰国後に請求できる給付金です。一定期間保険料を支払っていた場合、その一部が返還される仕組みです。企業が支払うものではなく、日本政府(日本年金機構)から支給されます。
特定技能外国人も対象になるのか?
はい。特定技能外国人であっても、以下の条件を満たせば一時脱退金の対象になります。
- 厚生年金保険の加入期間が6か月以上あること
- 日本を出国してから2年以内に請求すること
- 日本国籍を有していないこと
- 年金を受給する資格(老齢年金など)をまだ持っていないこと
支給対象となる保険制度
特定技能外国人が支払っていた以下の保険制度が、一時脱退金の対象になります。
- 厚生年金保険:勤務先が加入している場合に支払い義務が発生。原則、月給に応じて保険料が天引きされます。
- 雇用保険(別制度):一時脱退金とは異なりますが、離職後の失業給付や帰国旅費支援などの制度も別に存在します。
金額の目安
脱退一時金の金額は、納付した期間と給与額によって異なります。概算では、以下のような目安になります(2025年時点)。
加入期間 | 標準報酬月額 | 脱退一時金(目安) |
---|---|---|
1年 | 200,000円 | 約90,000円 |
3年 | 200,000円 | 約270,000円 |
5年 | 200,000円 | 約450,000円 |
実際の金額は日本年金機構の計算式によって算出されます。
申請方法と必要書類
日本を出国した後に、以下の書類を準備して郵送で申請します。
- 脱退一時金裁定請求書(日本年金機構の様式)
- パスポートの写し(出国日が確認できるページ)
- 年金手帳(または基礎年金番号が確認できるもの)
- 銀行口座情報(海外送金対応の口座)
受け取りまでの期間と注意点
申請から受け取りまでには3〜6か月程度かかることがあります。以下のような注意点もあります。
- 2年以内に申請しないと権利が消失します
- 所得税(20.42%)が源泉徴収されるため、実際の支給額はやや少なくなります
- 帰国前に勤務先から「資格喪失届」が適切に出されている必要があります
企業側の対応は?
企業が一時脱退金を支給する義務はありませんが、以下の対応をしておくと外国人材の満足度向上につながります。
- 制度の概要を入社時に母語で説明する
- 退職時に申請方法を案内する
- 年金番号や離職証明書などの書類を漏れなく発行する
特定技能 一時脱退金に関するよくある質問
Q. 一時脱退金は企業が支払うのですか?
A. いいえ。支払元は日本年金機構です。企業は支給対象ではありません。
Q. 技能実習生も一時脱退金の対象ですか?
A. はい。技能実習中に厚生年金に加入していた場合、特定技能と同様に脱退一時金の請求が可能です。
Q. 受け取れる金額はいくらですか?
A. 加入期間と給与額によって異なりますが、1年で約9万円〜、5年で40万円以上になるケースもあります。
まとめ|特定技能の一時脱退金は帰国後の大切な権利
一時脱退金は、特定技能外国人が日本で働いた証として受け取れる大切な制度です。企業が正確に制度を理解し、情報提供を行うことで、外国人労働者の安心と信頼につながります。支援の一環として、退職時に制度の案内や書類整備を行うことが、企業イメージの向上にもつながるでしょう。
